緑色にゆがんでゆく

 

  
通りゆく雨は
かおに蒸し気をぶちあてながら
唇だけをかみしめ
ゆるみきったひと吸いで
きみの顔も
緑色にゆがんでゆく


どろまみれの僕の顔が
数億の微生物に
たかられ
栄養をあたえられ
またはうばわれていく
なんとおりもの
過程をあふれさせ


らんぼうな、とても
らんぼうなぼくたちの音は
ひっ ひっ はっ
と呼吸を
することができず
さーさー
と間延びして
わずかな う
を織り交ぜながら
酸素不足のせいで
逆になにか放出されて
また、すこしはましになる
ひびやひびというものが
かるくぼくらにまとわりついて
僕の足元で
こまっちい革命がおこっては
とおりすぎることもなく
せみのからのような
屍骸、として
単純な豊穣として
処理され続け


何十回も展開されたあげく
いつのまにかぼくの感情
ともよべないかけらは
展開された正方形のように
ただの二次元として
まとめられていた


それらがほんのわずかな呼吸で
う あ ふぁ
と緑色にゆがんでゆく