真夜中、サイゼリアに行く。単純に待ち合わせというわけでも
なくただ行っただけだ。CDウォークマンから延々とIGGY&
STOOGESを耳に投入しながらドリンクバーのコーヒーをすする
同じく後ろ隣の席の五十代のオヤジとオバハンがドリンクバー
でコーヒーをすすっている。乳くりあっている音が聞こえて
うんざりする。実際はCDウォークマンはぶっ壊れていて
CDは再生できないからイヤでも中高年の発情音が直に聞こ
えてくるのだ。ぶっちゃけて言うけど、乳揉んでんじゃねえよ
バカ中年どもが。単純にカフェインがチンコに反応したとか
その程度の問題だろう。男は入り際に軽く見たところ、痩せ
形で油で髪の毛を撫で付けた美術教師みたいなタイプ。女は
軽く太めの同年代として、浮気かぁ?と邪推な連想ゲームを
するまえにとにかく存在自体が腐るほど不快だ。


数人しかいない客のほとんどは気付いている。
会計が終わった後で全員に聞こえるような大声で、
"乳揉んでる連中なんとかしてくれませんか"と言って逃げる。
バカ中年は自分らの非常識な行動もわきまえず何やってん
だろうあのキチガイは、という眼で去っていく俺を見る。
カタルシスが伴う行為は当然のようにリスクが伴う。
根本ではバカ中年も俺も変わらないのだ。むしろ、
俺があのサイゼイヤに二度といけなくなっただけ、俺の
ほうがリスクが高かったんだな、と思い苦りきった面をして
車で突っ走る。弱い人間は破滅でもって、多分心にPTSDにも
ならぬくらいのキズを負わせるくらいしかできないのだ。
この実例をもって教訓として、で、一体何に活かせばいいのか