マザーポエム

星か
飛行機か
と思っていたら
母親が死んでいた
享年七十歳


英語が得意で頭が良いと親族は言っていた
教師を目指していたということだが
お嬢様短大程度。
棺桶に突っ込んでくれと頼んだ英語辞書も
携帯用のジェムやオックスフォードのペーパーバックでもなく
高校受験相当の英和、和英辞書。
そりゃあ自己評価が低いわりに旧帝大出てる親父と
毎日会ってたら相当コンプレックス抱いたろう
そりゃあ三十年音沙汰ねえわけだ



とりあえず死んだというので
因果を考えた
そしてそれは飛行機雲でよかった
具体的には水蒸気が炭素に引っ付いたもの
とおくからみて母親だったが
ちかくでは四散して
電子オルゴールが鳴っている