ひっそりそり

とりあえずおひさしぶり

もうおいらはネット詩とか
そーいう世界からすると完全におじいちゃん確定みたいなものなので
ほとんどついていく気はないのだが、たとえばもう音楽とかでいや
もう最近の音楽にはついていけてなくてなあとか思っていたら
実際最近の音楽でもやってることは80年代前半のニューウェイブ
の影響下のことだったりして、案外歴史的な知識とかでついていける
部分もあったりする。だが当然若いやつは若いやつなりのセンスの
中で古いものを選択してたりするわけで、ふつうにパソコンで音楽
スタジオのマネが平気でできる現在2010年代は音圧調整とかを
自分でしたうえで80年代に実際そんなことやってたらレコードが
スピーカーの振動で吹っ飛ぶぞというような音圧を出してたりする。進化というもんは往々にして気が付かないもんですよ。

じゃあ若いやつのその進化ってのが何なのかというと
俺全然つかめてません。正直。

2015 NEO農協

電話で悪口を聞いている
でかいの、やかましいの、いやみくさいの
厳密にいえば
ふるえを
二進法で
パケット化されたものを
さらに還元したものを
この作業をミスれば
電気コタツの熱のように
ふわりと拡散するだけなのだが
あいにくと還元はうまくいき
はっきりとした声が聞こえ
だからこいつらの声は
ペケペケしたシンセウェイブにならない
2015、NEO農協
声のゴミが電子化され
唇のうごきまで忠実に
ブロック-ブロックで再生される
のどで吐き気を催せば
さらに粘膜が活性化されて
うまく話せるようになる好循環
会話は進む
負の方向へ
唇をお互いにすぼめた一瞬
互いのやかましさに敬意を表し
電話越し
キスの体勢で男と女の
ダバダバダがペケペケペケと流れる

でたらめ

時計はとまっている
きみにつぶされている
あっと アスファルトの上で 叫ぶまもなく
じりじりじりと ひとつ ふたつ みっつと 
遂行されているあいだに

ただぼくはとまろう
針はゆれている
パッケージ化されて
16進数とアルファベットで
ひとまとまりにされた瞬間と
さらなる瞬間のはざまで


"かつて中国のえらい神は山海をわけようとするときにこう言ったそうだ
よい塩梅の風がふいている、これは海か山かわからない。だとしたら
これを気として海にも山にも到達するものとし、天というものをつくり
そこに君臨しよう"


引き抜かれたものは青ざめた狭間だった
混濁するものはけっきょく同質なものにすぎないのだから
たしかに、山水のまじりあった
不完全な人間のはざまに
風は針のようにふいている

ぱくり1

夏だ 秋だといっているうちに
うちにかえっている
酒 酒 酒と
漢字を書いている
ぼくらはしょうがくせいにもどった
新学期をむかえるころ
さけびを吐き気にかえた
そして
教室はなにを教えるんだ
むろと読む
むれともよむ
どれもこれも
ひどくなつかしいじゃないか
おしえ、ということばに
ぼくたちは群がる
さけ、と読んだら
川をさかのぼる
したいことたくさん
だがディスプレイには
どうかしている動画で
どうすることもできない
仕事しろよ
しごけねえよ
へのこを

test

ケツ毛に生まれ変わるほうがましな人生さ
触媒からただの水をうみだしている
毒を産んだこともあった
人を産んだことはなかった
ゆるやかにぶちまけられた花花は
花びらまで分解するまえに仕舞われる
だが葉脈まで覚えていれば
ばらばらにしなくても同じだ

職場に行くまでのかったるさの間に


のうみそと
すぽー つかー
は しれ
あるいても いい
とりあえず うごけ
だるい しごとは レジうち ちんちん 
うおー ん とヒゲそり
うーん と すぽー つかー 


いやまてよ
もうやっちゃえ
やっちゃえやっちゃえ
おんなとやっちゃえ
みんなをやっちゃえ
ばかばか壊せ
エリコのかべを


というのもやっぱいい
というかうざい
拶でも喰らうて茶のめば
それはそれ


まあいいや とじりじり鳴らせ
ひいてもいいぞ 三十五人
じそく150キロで往路
じそく90キロで復路
みんな みんな めちゃくちゃに
とびちったすえ鈴のおと




まだまだ鳴るぞ
じりじりじりと
帰ってきても
酒をのんでも
田んぼのほうから
月のほうから

職場へいくまでのかったるさのあいだに



職場へいくまでのかったるさを
感じている間に
髭をどう剃るかということと
スポーツカーについて考えている


エンジン音はテンプレート吹き替えの。
うぃー
と気合が入らない音で
ポルシェからGT-Rまで
歴代の名車を横から追走しながら
しだいに流線型をましていくのだが


そんなぼんやりとした連想をぶちこわすように
いやあ問題はここでどう爆発するかだろ
と客観が俺につぶやく
世界を滅ぼしたっていいんだし
女五十人とやってもいいんだ
神のさまざまな行いを
具現したってかまわないのだと


もうひとつの客観が
うぜぇ
とつぶやく


俺は出掛けのほうじ茶をすすり
いっそ収拾をつける必要も感じず
GT-Rに轢かせた
時速150キロで往路
時速80キロのバックで復路
女五十人の破片が
微細な風鈴になって脳内で
ジジジジジと鳴った


コンビニの袋をひっかけて
夜十時に戻ってきたときにも
ジッジッジッジッジッと
田んぼのほうから鳴り続けているのだった