ムー大陸の呼び声


帰り道に耳を澄ますと
ムーの呼び声がした。


梅津元昇よ、詩を信じるな。
魂を信じるな、技術を信じるな

崇高な話題を五百回連呼したあとに
中国人を信じるな、政府を信じるな
と話題がだんだん下世話になるにつれ
おれは失望し


やめろ、もうたくさんだ
ベルリンフィルのように
わめきちらすと声はやんで
チェルノブイリのような
耳鳴りする沈黙がおとずれた


自分の声も聞こえず
思っていることも頭に
うかばない、深海魚のおれは
じたばたと空気をもとめて
さらにさらに
深くもぐっていくと
光 もしくは
頭がやられた兆し
そしてこじんまりとした庭
平凡な毎日


よし、こうしよう
まずおれはCDをかける、内容は当然
レッツゴートゥサンフランシスコだ
れぇーっつゴーツゥーサンフランシィィスコォーと
蚊の鳴くような声が全宇宙に響く


さらば青春よ
上空をムー大陸が曳航されていった