不安定な分子がポーランド公園で振動し続ける

ダイアモンドの雨粒が
ぐさりとアスファルトに刺さり
この世に生きたひとりひとりを悼む
それをぼくらは苦痛とよんで
信仰者は試練とよんで
わめきあるいは
ありがたがり
スピーカーマシーンは
きわめて正確に
炭素分子の組成を述べている


ぼくはといえば森のかたすみで
打ち棄てられたように
けものを追って発情したり
あるいはあきらめて
降る雨にやぶれゆく
葉の音を聞きながら
ただただおびえて
ちぢこまっている


そんな日曜に
僕は紫陽花のやぶれた葉ごしに
庭の片隅で君をみつけよう
アイスクリームで出来た服
カラメルでできたサングラスを
まといながら
君は森の中をもっともっと
甘いものをさがして
闊歩しつづける


世界の子よ


どうか望みを
うしなわないでほしい
だれも憎まないでほしい


この場所が苦痛で満ちているのは
君を産むためだったのだし


きみのすてきなおかあさんや
かっこいいおとうさんは
僕を君にみせたくない
それだけ切実なおもいのために
ぼくをここに押し隠したのだ


祝福を
祝福を
公園の森を
スピーカーマシーンが
名指しで
ぼくこそが救われるべきだ
と追いやられた誰に対しても
わめきちらし
ここにいるぼくも含め
それを直視できず


光線は屈曲しつづける
星屑は落下し続ける
そしてぼくたちは
精一杯の声で泣きべそをかき
地団駄を踏み
わめきつづける


続けろ
もっと続けろ
続けるんだ


スピーカーマシーンは
破壊される
そしてぼくたちのもとに
光は満ちてゆく