ダークサイド

ウチの前で犬が轢かれた。
半狂乱の飼い主がキャーキャー騒いでいる
犬を管理してなかった自分が悪いんだろうが


あまりの叫び声と責任転嫁、かなりウンザリする
轢いた車の奴は飼い主ごと車に乗せて動物病院に運ぼうと
言っているが何を考えてるのか、飼い主はアンタの車になど
乗らないとほざきキャーキャー叫び。車のカギもっていないとか
錯乱したことをいいだす。例の家庭内暴力オヤジが
叫び声をウザがりとっとと病院に連れてけ！と叫ぶ
だが車を出そうという気は当然ゼロ。
あるのは静かな生活を邪魔された苛立ちだけだ。


飼い主は犬を抱きながら走り出した。
何よアレ、と轢いた奴はつぶやいて去っていく。
単純に犬には罪はないんだが
感情的にキャー叫ぶ飼い主という犬にとってはたいして
関係ない部分において俺は犬を助ける行動は一切とらずに
安眠の床についた。
単純にこの事件において善人はひとりもいなかったのである。
誰も犬を助けることを優先した人間はいなかったのだ。
正直走っていく飼い主をざまあみろとすら思ったのである
苦しむ犬はおいといてな。


単純に、俺はキャー叫ぶ飼い主というまったく関係ない
部分において安眠という快楽を優先し犬を見棄てたわけだが
この一連の出来事において俺は人間および自らの醜さを再認識したのか
どうもその辺を歩いている人間がただの肉と脂がつまった
木偶にしかみえなくなってきた。ダークサイドにまた一歩
近づいて俺の家の前には犬の轢かれた跡と思われる脂が
へばりついている。