屈曲する星屑

sexyhoya_kouzou2005-10-14

一つの風景が存在することもなく
あらゆる地平がまじりあって
山岳なのか平地なのかも
わからない無分別のなかで
暴れまわっているのは
眼の裏にわずかにうかぶ
ほんのわずかな分子やら
あるのかもわからない
仮定された法則やらで
太陽が均質化されて
円形で輝いている
整列された包囲陣


光線はひとつのベクトルで
直進していくだけで
やはり細線にぶつかって
かろうじて屈曲し
また直線をつづける


空気が壁面になっていき
味覚も視覚も聴覚も矯正されて
記号化されていく
確かに
ことばだけがひとつひとつ
きまりきった
曲線やら直角やらでおれの
ねじまがったくちびるや
つんのめった顎を矯正して
ずいぶんまともな形にするのだ


直線が慣らされた
網状の平坦のなかで
あわずかなぴりりとした
感覚のみで、静寂という
ことばのなかで矯正された
固化パラフィンの融点が
均質化された円形の太陽にうたれ
曲線の公式を無視した上で
液化していくこと
それだけをはじめて
そしてまたぼんやりとした
皮膚熱の存在だけでも
貴方が感じた、としても
ぼくはどこにもいない
風になって触れることも
できずにもがき
きみのいるその場所の
裏側だけをかじりながら
掘り続けていこう


君の手の中に、細胞のすきまに
気付かれずに、海溝の中
深海魚がひかりかがやいて
それは円形と線形の
太陽光線の細胞壁
釈尊の後光ラスプーチンの瞳に
痰の反射


よし、奇跡だ
とつぶやいて
ブラウン管のすきまで
情報、あるいはきみをつけねらう
おれの顎だけがはみ出している