与謝野晶子

青根温泉へいってきた。ガソリン代含めると1150円の旅行ということになる。
実際、青根温泉の大湯という共同浴場が一人150円というバカ安であり、
しかもこの共同浴場は伊達候が四百年前に建設させたという石の湯船をそのまま
つかっている。これほどに由緒の高い温泉町であるのだが、車道や鉄道の開発が
遅れたためにすっかりと秘湯の扱いをうけるほどにさびれてしまった。実際問題
秘湯らしい刺激の強いお湯はここにはなくくせのない上品な単純泉であり
ほんのりと効いていく感じが心地よい。ちょうど与謝野晶子の句碑があったので
見てみると「青根なる大湯の中に我が倚るは昔伊達衆の倚りし石段」と書いてある。
つまり与謝野晶子もこの大湯に入ったということである。
由緒正しいとは言えなんでこんなところにと思い調べてみると与謝野晶子は無数の
温泉マニアであることが判明した。生涯に北海道から鹿児島までなんと七十箇所
もの温泉地をめぐっている。もっともこれには各地の講演会で同人誌の費用を稼いでいた
という背景はあるらしいが、それにしてもここまで多いと流石にそれだけの理由とは
考えられない。与謝野晶子というと情熱女性歌人という視点で語られることが
多いが温泉マニアとしての彼女についてもっと語られるべきではないのかと
音楽マニアの俺としては思うのだ。