環境ホルモン

最近環境ホルモンのせいで、男性の精子数が減少している
らしい。だがそれをどうやって数えるのだろうかと俺は
思う。顕微鏡で精子ひとつふたつみっつ、あっ、動くんじゃねえ
この野郎とかいいつつ数えるんだろうか。とりあえず精子という
のは一発に出す量は何億という数らしいからまあミリグラムあたり
の数とかを数えた上で調べるわけだろうが、それにしても大変な
数であることには違いない。ちいさい単位でも数千くらいはある
だろう。しかも減少してることまで判っているということは
そういう調査をきちんとしているということに違いないのだ。


俺がもし就職して、このような職場に配属されたらどうなるだろうか
きっともういやでいやでしかたないにちがいない。


研究室に、となりの部屋から精液がはいった容器がはこばれてくる
容器は軽い凹凸がラテックスゴムとシリコンでかたどられている。
なまぬるい感触に耐えながら、高感度の重量計にのせて、重さを
はかる。あきらかに精液を採取するために"実用的"
に出来ているのがわかった。ちぢれた毛がまとわりついて
いるのをみて、爪ではじく。


じわじわと乾燥していく精液、栗の花の匂いというが別に
栗の花の匂いなど知らんあのイヤな匂いがただよってくる
研究所内の、薬品とバーナーの匂いが混ざった、ある意味
ストイックな部屋にひろがっていくだけに余計に鼻につく
中、
廊下側の窓から妙な苦笑いをした奴がこっちを見て通り過ぎる
ああ、あいつのか。言いようのない不快感を抑えながら
一匹、二匹、三匹、四匹と数えていく、一時間たった、


俺はアメリカ軍の司令官とかになったらイラク人に絶対に
この拷問をさせると思う。イラクは日本と違い暑い。体臭も
黄色人種とコーカソイドでは比較にならぬ。ゲロをはきそうな
環境のなか、ひとーつひとつと数えていかされるのだ。