売る背絵バカ野郎

なんとなく酒びたりの日々を続ける。
とりあえず女房が、あんた酒はもうやめてどっちにしろアンタには
マンガしかないのよとマンガ描いてよと俺がマンガも描けないくせに
いうので、うるせえバカ野郎と罵り腹を蹴飛ばすと脳内女房があんた
やめて三ヶ月なの三ヶ月なんだからというので興を殺がれ、しょうが
ないので行きつけのスナックに行くとカラオケでじいさんが
やかましく北酒場をうたっているのを横目に長距離トラックの運ちゃんを
夫にもつ脳内ママをうへへ今夜つきあえよとセクハラをしつつも
あんた恵子さん三ヶ月でしょ、こんなとこで飲んでていいのと軽く
いなされて、グデングデンになってると脳内ママは近所でコンビニを
経営してるテカンテカンのポマードをした筋モノ(住吉会系)に愛想を
ふりまいて、まあマンザラでもないみたいな雰囲気になっているので、
なんとなくイヤになって昨日印刷現場で稼いだ金をホイもってけと
3千円出してかえると、嫁は電話でなんだか楽しげに話している
だれだぁ？と聞くと高校時代の同級生だと言うのでああそうかと
ふてて寝ると翌朝、嫁がフンフフーンと鼻歌を歌いながらめったに着ない
一張羅を着てあんたあたしちょっと出掛けてくるからねえと言うので
ああそうかと答えてやる、行き際に、ホテル代くらいは出してもらえよ
と吐き捨てるように言うと一瞬強張った顔をしながらそんなんじゃあないわよ
バカと微笑を浮かべて去っていく。女は相変わらずしたたかってモンだぜ
保温かけっぱなしのすえたにおいがするメシを、ひらべったくなった卵をかけて
食うと、さあでかけてくるかねとスイングトップを着てパチンコ屋に行く
なんとなく小泉今日子コロス小泉今日子コロスとかつぶやいていると
ふとった、連続テレビ小説とワイドショーをたのしみにしてそうなばばあが
むちゃくちゃ強張った顔をしていたので、手で銃を作ってパーンと撃つ真似を
すると、この世でないものを見たように目をあわせずに去っていった。
みたいな