おれの敗北

おれはいつのまにか
俺に敗北していることに気が付いた
とはいえ勝利したはずの
唾棄すべき存在のおれを探したが
おれはどこにも居なかった


俺はクラブをイメージした
赤い飛蚊症と青いライトの中で
踊る俺を探したが
歳を食って踊れていなかった


俺は詩会で適当に威張り散らし
詩を読む俺を想像したが
緑色の部屋で俺は
詩も書けていなかった


ようやくさがしあてた俺は幼児化し
羽毛のソファの上でよだれをたらし
まだなにもない夢をみていた
おい、立てと叫んでみたが
おれは立たなかった


ソファを蹴飛ばし
おれを床の上にたたきつけた
しかし俺は眠ったまま


グレーのギンガムチェック