やらしてくれるおねえさん

こびりついた魚のにおいが
しみついてはなれない夜は
岩切の二丁目に住む
やらせてくれるおねえさんについて語ろう


ぼくたちがたばこをすって
酎ハイをのんで
なんとなくまわった


その
あくるひの朝から
きのうの夕方まで
さかのぼっていけば
何人もの男が
彼女からうまれていた


ぼくは礼拝する
アンビエントテクノに向かって
DJブースに背を向けて
甘味料カクテルの匂い
しょったレコバック
今日は一回だけ先輩が
回させてくれる


やらしてくれるお姉さんについては
ただひとつ知っている
僕は五千円払った


グリルに魚油がこびりついて
夜に銀色が幕を張る


あけた昼間から
空気が抜けた声で
何年も前の
年甲斐もないセーターを着て


どうしようもない顔をかくさずに
怪訝そうにこっちをみながら
そのあと軽く微笑んでいた