ひとつだけ真理がある。たとえきみの仕事が誰ぞのまねであったと
しても問題とされるのはきみの労力だということだ。きみがきみの
仕事にふさわしい労力を払っていればそれがマネであれ誰も何も
言うものではないということを肝に銘じておくべきである。
それを認識した上でオリジナリティの問題を見据えれば多分に
そのことにプライドゲームの側面が多いということに気が付くだろう。
僕の要求は簡単だ。威儀を正し他人に礼を尽くした上で媚びるな。
オリジナリティなど媚びだ。自分がオリジナリティある存在であるという
プライドゲームに参加すれば、そのちっぽけなオリジナリティは
いつか君を二重三重にしばりつけることになるだろう。ぼくがここで
詩人に栄光あれと祈るのは確かに楽だがその際詩人はたしかに栄光の
ローブを身にまとい王座に向けて、あるいは処刑台に向けて確固とした
一歩をふみつけつつ目を目をそらさない存在であるという前提を強要
されなければならぬだろう。ならば祈りの言葉はもっと素朴なもので
いい。家内安全、火の用心、無病息災。ことばと同様たべものにも
きをつけることでひとつの事柄の総括はおわった。仲良き事は
美しき哉 実篤。