志道不覚悟


プラス、マイナスゼロで
ねばっこく地球は固まった
やわらかく踏みしめた
足元に鬱青(うっそう)と繁るのは
言い訳に叫びすぎた理由と
士道不覚悟で
保春院の拙斎先生に
まったく申し訳が立たない。


おれは侍だと叫ぶ奴は臆病で
切腹ができない
ロックンローラーだという奴は
ギターを壊せない


絶好のアドバイスは大抵
タイボクシングが最強で
空手やカンフーを言っている場合では
ないというしろもので
俺は酒を飲む
しこたま


世界はしこたまひろく
乞食は俺のことを忘れるなと言い
俺は忘れられる
そのすえにぼんやりとのこった
輪郭だけで俺は仏像になって
平等院に安置される
おとずれた俺に仏はこう言う
構造よ、もっと無我夢中で
160BPMのツーバスで踊りなさい


ベルリンの冷たい顔で
はげしく動く
白人ファンクミュージックがようやく
見えたかと思ったら
仏の掌で踊っている
おれは
切腹か出家だけを強要される
不覚悟者だ
夢のあとには草だけが繁る
ある者は目をつぶって
原色の四角形が交通渋滞し
また吹っ飛ぶ


不覚悟のすえに、森が繁る
おれは原生林になって世界を見守る
切り倒されて、また勃起する
戊辰戦争に勝つ