童貞性病

昔洋楽オンリーで邦楽を一切聴かなかったときにいわれたのがお前日本人かそれでも
という文句だった。そう抜かしたバカはアメリカ国籍のDQNで俺のことを
非常に嫌っていたのである。そいつのオヤジがアメリカに単身渡って成功したという
クソ武勇伝を持っていたので以来おれはそういう武勇伝が大嫌いだ。そういう武勇伝
に萌えるようなバカ女は普通にエイズで死ねと毎度思う。


ふざけんなてめえらも映画は洋画しか見ねえだろうがと内心で
吐き捨てていたが、そいつは空手をやっていたので手向かう体力もなかった。
けっきょくそのバカは後輩をシメたかどで退学になったが、そういったこと総てが
武勇伝として機能するんならこんなクソ世の中生きていても仕方ねえなあと
ガキのころから毎度思っていたが、機能しやがるようなので、実際ガキの頃基準で
言えばまったく生きていても仕方がない世の中ということになる。現状としては
仕方なく生きているわけだが。


ちなみに性病といえば、小池一夫先生の劇画で性病部隊というのがあって
CIAに性病を植えつけられた日本人が"お前らは命知らずの性病部隊だ!
キューバ中の女どもとやりまくって性病を広めキューバをパニックに
陥れるのだ"という指令を受け女とやりまくらされる内容のものがあるらしい。


おれはこの絵ひとつも見たことがな劇画を思うたびに、ひとりぼっちの戦争
という文句にからめて、ひとりぼっちの性病部隊ということを考えるのだ。
平凡な生活を送っていた童貞高校生である俺が北朝鮮に拉致され注射器で
性病を植えつけられて性病部隊としてアメリカに送り込まれるのだが
モテないし内気で女に声かけるのも億劫なので性病を伝染すこともできず、
結果たった一人で性病に苦しむという妄想である。処女受胎は聖性の象徴
とされるが、童貞性病というのはどうだろうか。性欲と病の二重苦に苦しみ
ながら決して女に触れぬその姿は聖そのものではあるまいか。死ぬときに
ハウス名作劇場調の天使が降りてきてもバチはあたるまい。


ちなみにガキ時代俺はフランダースの犬のネロを乞食の野垂れ死にと言って
殴られたが今となって思えば殴られるべきだったろう。