そうさ君はもう
少女でいられなくなったのさ

沸騰する薬缶と黴の生えた台所で
賞味期限切れのローズヒップティー
湿気たよろこびを飲み干し
洗濯機の音を埋もれながら
流れるジャズを愉しめるようになった

そうさ浮き浮きとした笑顔は
敵の誰かに見せ付けるため
悲しみの涙は
自分の望みを通すため
それらに手抜かりがなくなって

酸っぱい臭いの部屋で
つぶれた瞑想と煙草の薫りの
やさぐれた苦行の中で
男かどうかもわからない
僕の影と接吻する。

いずれ炎や氷塊のような
本当の男に会うだろう
熱さや冷たさに飛び退くだろう
そしてそれを受け入れ
肌が焼き尽くされたとき
君は女になるだろう