25.5

全く新たな法令が布告された。読んではいないし細部も知らないが
誰もが自然に慣れ従った。

俺の領土は猫の額ほどもなかったが、ここに立っているだけで
両足裏の部分だけは領土としての主張ができることになった。

そして侵犯が足を踏むという行為に限られる以上、俺は殴られる
機会は極めて少なかったが可能性がないわけではない。

自転車に乗った。俺の領土は時速二十キロで移動した。
レコード屋についたがすでにあらかたの品は掻っ攫われていた。
残った品をやむなく頂いていった。

家は何もおきてなかった。
手にもてないものは誰ももっていかないし金銭の奪取も無駄となると
俺の本やレコードなどは誰一人としてほしがらず価値がまったくなかった。
そして俺が持っている服はほとんどが小さく趣味が偏っていたので
男の連中には着れないはずだ。

それでも僅かに女が小さい服を求めていた。放置して眠っていると
やがてベットの上で何人もの女が寝はじめ、おれも侵犯することはなく
すべておれの女ではなかった。